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ウレタン塗装を外壁に選ぶメリットやデメリットは?特徴や費用について解説

ウレタン塗装はシリコン塗料と比べても安く外壁塗装が行えますが、現在では選ばれることが少なくなりました。
ウレタン塗装が選ばれなくなったことには明確な理由がありますが、必ずしもお住まいのメンテナンスでNGとなったわけではありません。
今回はあらゆる種類の塗料で外壁塗装工事を行ってきた街の外壁塗装やさんの目線から、ウレタン塗装を外壁塗装に選ぶことについてのメリットやデメリット、他塗料と比較した評価などを詳しくお伝えしていきます。


そもそも外壁塗装における「ウレタン塗装」とは、通常の塗装と何が違うのでしょうか。
ウレタン塗装は主にウレタン樹脂を主成分とする「ウレタン塗料」を用いた塗装方法です。
外壁に使用する塗料の種類は、基本的に主成分とする樹脂によって特性や耐久性が異なります。
ウレタン以外にはシリコンやフッ素、アクリルなど様々な樹脂の種類が存在しています。
かなり前の話にはなりますが、ウレタン塗料は外壁塗装の主力としての地位を築いていました。
ただ、現在ではシリコン塗料が主流となったことで、ウレタン塗料が選ばれることは少なくなってきています。

ウレタン塗料の特徴
ウレタン塗料を簡単にご紹介すると、外壁塗装で最も使用されているシリコン塗料よりもワンランク下に位置づけられる塗料となります。
シリコン塗料よりも耐久性は劣るものの、価格は安いというのが大きな特徴でしょう。
塗料の種類 | 耐用年数 | 塗料の㎡単価 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5年~8年程度 | 1,000 ~ 1,500円/㎡ |
ウレタン塗料 | 7年~10年程度 | 1,800 ~ 2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 10年~13年程度 | 2,500 ~ 3,500円/㎡ |
フッ素系塗料 | 15年~20年程度 | 3,500 ~ 5,000円/㎡ |
無機塗料 | 20年~25年程度 | 4,000 ~ 5,000円/㎡ |
また、ウレタン塗料は弾性があるため、塗装面となる外壁材の伸縮に対応しやすいです。
外壁材の動きに追従できると塗膜のひび割れをある程度防ぐことができますので、塗装工事後に丈夫な状態を長期間維持しやすくなります。
この特性は後ほどご紹介するウレタン塗料のメリットの1つ、「汎用性の高さ」にも強く関係しています。
ウレタン塗料の種類
ウレタン塗料の種類は「1液型と2液型」と「水性と油性」に分けられます。
1液型と2液型とは?

1液型 | 現場での硬化剤の混合を必要とせず、水や溶剤を混ぜるだけで使用可能な塗料が1液型です。 手間が少ないことから作業性に優れており、 DIYで使用するなら手軽に使用できる1液型ウレタン塗料をオススメします。 |
2液型 | 主剤と硬化剤を混合して使用するタイプです。 1液型よりも適切な分量での配合や撹拌などの手間が増えますが、 塗膜が非常に硬く仕上がるため耐久性に優れています。 硬化剤を配合した後では日持ちしないため、 その日に使う分だけを計算して主剤と混ぜなければならない点に注意が必要です。 |
水性と油性の違い

水性 | 希釈剤として水を使用するのが水性塗料です。 臭いが気になりにくく、技術の進歩によって十分な耐久力を発揮できるようになったため、 住宅地での外壁塗装では水性の方が選ばれています。 |
油性 | 希釈剤としてシンナーなどの溶剤を使用するのが油性塗料です。 塗膜の密着性と耐久性は水性よりも高いですが、 油性特有の強い臭いがあるため住宅地での外壁塗装では避けられる傾向にあります。 密着性の高さを活かし、金属部分への塗装にも適正があります。 |
※希釈剤=そのままでは粘度が高い塗料を薄め、塗装可能な状態にするために混ぜられます。

費用を抑えて塗装ができる

ウレタン塗料は耐久性が他の種類に劣るものの、塗装に掛かる費用も安く済ませられるというメリットがあります!
ウレタン塗料で1㎡あたりを塗るための単価は「1,800〜2,500円/㎡」です。
これは外壁塗装で最も選ばれているシリコン塗料の一段階下の価格帯となります。
ウレタン塗料 | シリコン塗料 | |
---|---|---|
耐用年数 | 7年〜10年程度 | 10年〜13年程度 |
費用相場 | 1,800〜2,500円/㎡ | 2,500〜3,500円/㎡ |
外壁塗装のプロの目線からすると、耐用年数が短いウレタン塗料は塗り替えの頻度が高まってしまい、長期的に考えるとコストパフォーマンスに欠けると言えます。
ウレタン塗料が悪いというよりも、シリコン塗料のコスパが優れ過ぎているのです。
※ウレタン塗料が塗装に向いているケースは後半で詳しくご紹介しています!
DIYでは手軽に使用できる価格帯に位置しますので、広い面積でもコストを抑えた塗装ができることから、ウレタン塗装の人気は高いです。
種類が豊富

シリコン塗料が台頭するまではウレタン塗料が外壁塗装の主流でした。
そのため、国内の主要メーカーがウレタン塗料の商品を展開しています。
☑ 日本ペイント「ファインウレタンU100」
☑ エスケー化研「クリーンマイルドウレタン」
街の外壁塗装やさんでは、外壁材への塗装よりも鉄部の付帯部(霧除けなど)や外階段などに使用することが圧倒的に多いです。
塗る場所を選ばない汎用性の高さ

ウレタン塗料は外壁材に加えて金属・木材・プラスチックなど、とにかく塗る場所を選ばない汎用性の高さが大きな特徴です。
さまざまな素材に密着しやすい性質を持ちますが、塗料として重要なのは塗装された後の「塗膜の弾性の高さ」です。
ウレタン塗料は柔らかい塗膜を形成しますので、温度や湿度の変化で伸縮しやすい素材に塗装をしても動きに追従してひび割れを起こしにくいという特性を発揮してくれます。
先ほどもご紹介したように、他の塗料ではしっかりと密着しにくい金属製の建材をはじめ、付帯部塗装などで活躍する機会が多いのです。
幅広い用途で使用できることから、趣味のDIYで「ウレタン塗料を選んでいたおかげで何にでも塗れた」という場面を経験された方も多いのではないでしょうか。
柔軟性・弾性に優れている

「汎用性の高さ」から続く内容にはなりますが、ウレタン塗料の塗膜には柔軟性がありますので、外壁材に塗った場合だと地震や建物の経年変化による微細な動きにも対応して伸び縮みすることができ、ひび割れにくいというメリットがあります。

木材は湿度や温度の変化によって膨張・収縮する性質を持っているため、塗装を行っても他の素材より塗膜のひび割れや剥がれが早く進行する傾向にあります。
ただ、ウレタン塗料はその柔軟性によって木材の動きに追従し、塗膜の割れを防ぐことができます。
そのため、DIYでは木製の机や椅子などの家具への使用にも適しています。
総じて、ある程度の耐久性と塗る場所を選ばない汎用性の高さ、そして安く手に入るウレタン塗料はDIYで使用する際のメリットが目立ちますね。

耐用年数が短い

ウレタン塗料は他の塗料と比較すると、耐用年数が短いです。
ウレタン塗料にも外壁塗装で多く採用されている時代があったように、初めから耐用年数の短さがデメリットとされていた訳ではありません。
ですが、選びやすい価格帯で耐用年数の長いシリコン塗料が登場したことにより、相対的にウレタン塗料の耐久性の低さが強く感じられるようになったのです。
紫外線で変質しやすい

ウレタン塗料は紫外線の影響を受けやすく、他の種類よりも塗膜が変色しやすいことで知られています。
車のヘッドライトや机の表面などを保護してピカピカに見せるためのクリヤー塗装では透明なウレタン塗料が用いられますが、紫外線の影響で黄色い変色が発生することがあります。
ただ、紫外線による劣化症状として黄色い変色が発生するのは、あくまでこうしたクリヤー塗装でのお話です。
外壁塗装で使用する塗料では上記のような変色は発生せず、他の種類と同様にチョーキングや色褪せが主な劣化症状となります。
塗り替え頻度が高くなる

お住まいとお客様のことを考えるのであれば、塗り替え頻度の高さがウレタン塗装の最も大きなデメリットであると考えています。
耐用年数の短さと紫外線の影響による劣化の早さから、ウレタン塗装の塗り替え頻度はアクリル塗料を除いた他の塗料に比べて高くなってしまいます。
1回ごとの塗装費用は安くても、耐久性が低いと再び塗り替えが必要になるまでの期間が短くなりますので、長期的に考えるとシリコン以上の耐用年数を持つ塗料のほうが総合的なメンテナンスコストや塗装工事費を抑えられるのです。


現在では外壁塗装の約7割がシリコン塗料によるものとされています。
逆に、ウレタン塗料を外壁塗装で使用するケースは稀と言えるほど減少しました。
なぜウレタン塗料よりも価格の高いシリコン塗料がここまで支持を受けているかというと、コストパフォーマンスが圧倒的に優れていることが大きな理由でしょう。
「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」といった主要な種類の中で、シリコン塗料は価格と耐久性が共に中間レベルに位置しています。
選びやすい値段でありながら、同時に耐久性も十分にあるというバランスの良さこそ、シリコン塗料が秀でているポイントです。
定期的な塗装メンテナンスだからこそコストパフォーマンスを重視する

デメリットの項目でも説明したように、ウレタン塗料は塗装費用こそ抑えられますが、シリコン塗料よりも塗り替え頻度が高くなります。
長いスパンで見ると、シリコン塗料では2回で済んだ外壁塗装工事がウレタン塗料の場合は3回必要になることも考えられます。
「安い選択をした」と思っていても、総合的なコストは工事回数の多いウレタン塗料の方が高くなってしまい、どうしてもお得な選択とは言えなくなるのです。
各メーカーが力を入れているからこそオススメできます

最も使用率が高いということは、各メーカーとしても競争が激しい種類の塗料となります。
約7割の外壁塗装に使われているのですから、他社よりも長い耐用年数を持つシリコン塗料が開発できれば、自社商品のシェア率アップに期待できますよね。
そういった各メーカーの努力によってシリコン塗料の性能や機能性は進化しており、質の高い商品の選択肢がかなり増えました。
例として、大手メーカーのエスケー化研が販売している「エスケープレミアムシリコン」は、シリコン塗料が持つ「耐汚染性の高さ」「光沢保持率への高さ」というメリットはそのままに、塗膜の劣化を抑える「ラジカル制御機能」を搭載したことで耐用年数を伸ばすことに成功しています。

エスケー化研以外にもシリコン塗料の品質に力を入れているメーカーは多く、研究や開発が進められやすい種類といえるのです。
選びやすい価格帯の中で満足度の高い外壁塗装を実現しやすいことも、ウレタン塗料よりオススメできるポイントとなります。

あと数年で退去予定

耐用年数の短さを強調してきましたが、逆にウレタン塗料は短期間での利用に適しているとも考えられます。
例えばあと数年で建替えや退去を予定している建物の塗装メンテナンスにおいては、15年近くの耐用年数を持つシリコン塗料やそれ以上のグレードの塗料は不要ではないでしょうか。
せっかく高耐久の塗料で塗装をしても、数年でその役割を終えるのであれば費用だけが高く付く結果となってしまいます。
必要十分な期間だけ外壁を保護するのであれば、低価格で施工できるウレタン塗装の優先度はコスパの観点から高いと言えます。
また、長く住み続ける予定の場合でも様々な都合で塗装メンテナンスに大きな予算を割くことが難しいケースもあるでしょう。
「今回だけはなるべく安い金額で塗装を済ませたい」といった場合なら、ウレタン塗料の中でも耐久性の高い「クリーンマイルドウレタン」などを選択して塗装にかかるコストを抑えることも候補に上がります。
付帯部へ使用するケース

ウレタン塗装は汎用性が非常に高く、木材、金属、コンクリートなど、さまざまな素材に適用可能です。
建物の霧除けや庇などの付帯部分には金属が使われています。
他にも木製の破風や塩ビの雨樋など、素材の幅が広い建物の付帯部塗装にはウレタン塗料の汎用性の高さが活かせます。
【コラム】防水工事では「ウレタン防水」として大活躍

外壁塗装での使用率は低いものの、実はベランダやバルコニーでの防水工事にはウレタン塗料が大活躍しているのをご存知でしょうか?
日本で最も採用されている防水工事の工法は「ウレタン防水」です。
ウレタン防水はウレタン樹脂塗料を複数回重ねることで強い防水層を形成する工法であり、「塗膜防水」とも言われます。
塗料を流して防水層を形成することから、段差や複雑な形状を気にすることなく施工を進めることができます。

また、「ウレタン塗装のメリット」でもご紹介したようにウレタン塗料の弾性・柔軟性の高さが衝撃に強い防水層の仕上がりに貢献し、人が歩くことの多いベランダやバルコニー・屋上の使用にも十分な強度を発揮してくれます。
こうした理由から、防水工事ではウレタン塗料の活躍の機会が非常に多いのです。

今回はウレタン塗料を外壁塗装に使用することのメリット・デメリットについて解説してきました。
ウレタン塗装を進めるか迷っている方は、判断の決め手になる理由などは見つかりましたでしょうか。
私たち街の外壁塗装やさんは塗料についての特徴を熟知しているからこそ、「安く済ませられる」という理由で安易にウレタン塗料を推奨することはありません。
一方で、用途によっては汎用性の高いウレタン塗料を活かすことも可能です。

コスパを重視するならシリコン塗料、高い耐久性を望まれるのであればフッ素以上の塗料など、お客様が外壁塗装の塗料選びで何を重視しているかを把握し、それに適した塗料やプランをご提案させていただきます。
「これぐらいの金額で塗装をしたいので、予算に納まる塗料で提案をしてほしい」
「チラシで見たウレタン塗料のプランが安かったから迷っているけど、他の選択肢も含めて検討したいので詳しい人に相談したい」
など、何でもご相談いただければと思います!

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