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軽量で高耐久! ベランダ・バルコニーに最適なFRP防水の特徴と施工方法
皆さんは近年新築住宅のバルコニーやベランダに施工されている防水の種類をご存知でしょうか?構造上の問題からシート防水やウレタン塗膜防水の方ももちろんいらっしゃいますが、建売住宅等でも圧倒的に多いのがFRP防水です。名前は知っているという方が多いFRP防水ですが、「FRPってなに?」「FRP防水は他の防水工事と何が違うの?」「補修方法は?」等、いざFRP防水に劣化が表れ補修が必要となった時に分からないことが多く悩まれるかと思います。ちなみにFRP防水を施工しているお住まいでの最も多くいただくご相談・お問い合わせが「ひび割れが多く雨漏りが心配」という事です。そこでこのページではFRP防水の特徴から他の防水との違い、そしてFRP防水の補修方法についてご紹介していきたいと思います。
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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FRPとは?
FRPとは軽量で耐久性・耐水性に優れた繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略称で、我々の生活の中でも自動車のボンネットや浴槽など身近なところで使用されています。
FRP防水はFRPの特徴を活かし防水分野に取り入れることで強靭な防水層を形成することが出来ます。
近年はFRPという言葉に違和感はなくなりましたが、1905年頃から施工されているアスファルト防水や、1960年代頃から施工されているシート防水・ウレタン塗膜防水と比べるとまだまだ歴史の浅い防水工法です。ですが現在多くの住宅でFRP防水が採用されている理由として以下が挙げられます。
1. 軽量
FRPは馴染みのあるプラスチックと同様に非常に軽い性質を持ちます。
近年は耐震性向上を図るため、屋根材や外壁材に軽量な金属素材を使用することも増えてきましたが防水工事でも同様です。
軽量なFRPを使用することで住宅への負担を軽減し、結果住宅の安全性向上に繋がります。
2. 高耐久
ベランダやバルコニーというと洗濯物を干したり、ガーデニングを行ったりと歩行する機会が多いですよね。
雨水の浸入を防ぎながら尚且つ高い強度を確保するには、摩耗性・耐候性・耐久性に優れたFRP防水は最適なのです。
FRP防水同様シームレスな(継ぎ目がない)仕上がりになるウレタン塗膜防水は摩耗性には優れていない為、ベランダやバルコニーではなく屋上(陸屋根)に施工されるケースが多く用途・面積によってFRP防水とウレタン防水を使い分けることが大切です。
3. 硬化がはやい
通常ウレタン塗膜防水を行うと一層ごとに乾燥するまで何もできず、はやくても4~5日かかってしまう事があり雨が降れば更に先延ばしになります。
対してFRP防水は硬化までの時間が非常に短く、バルコニーやベランダの施工は1~2日で終わります。施工期間の短縮は品質の安定・工期短縮・ストレス軽減に繋がります。
以上のメリットから新築・改修ともにFRP防水が施工されることが多く、非常に身近な存在となりつつあります。但しもちろん何事にもデメリット(注意点)がありますがそれが以下の3点です。
1. 伸縮性の低さからヒビが生じやすい
FRP防水は強靭な防水層を形成する反面、伸び縮みしにくいことから建物の動きに追従できずFRPにひび割れが生じやすい傾向があります。
木造住宅ですと木材の伸縮も影響しますし、地震後にFRP表面にひび割れが発生した・大きくなってしまったという方も少なくありません。そのためFRPの施工は動きの少ない小面積に限られますし定期的な点検・メンテナンスは必要不可欠です。
2. 紫外線によってFRP防水が傷みやすい
本質がプラスチックですので紫外線に弱い傾向があるFRP防水は、ウレタン塗膜防水同様トップコートでの表面保護が必要になります。
トップコートは数年でひび割れが起き始めますが、硬膜なFRP防水も同じようなひび割れ方をしますので、FRP防水層とトップコートのどちらに被害が生じているかをしっかり確認しましょう。
3. 費用が高い
FRP防水は施工箇所・施工方法を誤らない限り非常に優秀な防水工事です。その分シート防水やウレタン塗膜防水と比べると1㎡あたり500~1500円程高くなってしまいます。
FRP防水は小面積施工に最適ですので価格差はほとんど感じられないかもしれませんが、価格差が生じている事は認識しておきましょう。
FRP防水とウレタン防水は特徴が違いますがどちらもメンブレン(塗膜)防水です。継ぎ目もなく凹凸に合わせて施工できる点が共通ですので見分けがつかないという方も多いのではないでしょうか?
しかし実際に補修するとなるとFRPかウレタンかという防水層の特徴は見極めておかなければなりません。そこでウレタン塗膜防水とFRP防水の特徴と違いをご紹介したいと思います。
ウレタン塗膜防水とは?
ウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する防水工法です。
指で押してみると弾力のある防水層で、その柔軟性から地震等で動く建物にもしっかり追従できますので屋上・陸屋根などの広面積への施工も可能ですが、摩耗性・耐久性はFRP防水に劣ります。
施工後の表面は非常に滑らかでとても綺麗です。
FRP防水とは?
FRP防水はポリエステル樹脂の上にガラス繊維で出来たマットを敷き再度、樹脂を塗布し固めます。このガラスマットの密度によって1枚で防水層を形成する「1プライ」と2層形成する「2プライ」工法かに分かれます。
FRPは硬くウレタン塗膜防水ほど伸縮性には優れていない為指で押しても弾力はありません。また木造住宅の広い面積や下地が鉄の場合にもFRP防水は施工できませんので、バルコニーやベランダと言った狭小面積への施工が多いのです。
FRPの場合ガラス繊維を使用しているため表面が摩耗するとざらつきのある繊維が見られます。施工中はスチレン臭(シンナーよりも強い独特な刺激臭)が発生するため、十分な換気対策が必要になります。
どちらの工法も塗膜のため多少の凹凸があっても施工でき、仕上がりも継ぎ目がなく非常に綺麗なのですが、施工面積や下地によって採用できる工法が異なります。またどちらも紫外線で劣化してしまうため防水層を形成した後にトップコートと呼ばれる保護塗料を塗布する必要があります。
ご相談をいただく「FRP表面のひび割れ」はほとんどがトップコートの劣化による割れで雨漏りを起こす心配はありませんが、稀に大きな亀裂や破断が見られるお住まいもございますので心配な場合はお気軽にご相談ください。
ウレタン塗膜防水・FRP防水のどちらも耐用年数は10~13年程度ですが、下地に水分が含まれていると蒸発した際に塗膜に膨れやしわを起こすことがあります。施工不良が見られるお住まい、築20年以上経過しているお住まいや雨漏りを起こしてしまったお住まいがそれに該当します。
この場合塗膜防水を塗り重ねても上記トラブルが起こる可能性がありますので、通気緩衝工法(絶縁工法)を用いて下地の密着を防ぎ、内部の水蒸気を逃がす脱気装置を設置し膨れを防ぎます。
ここまででFRP防水の特徴やウレタン塗膜防水の違いがお分かりになったと思いますが、問題はいつ・どのようなタイミングでFRP防水の補修を行うべきなのかという点です。
そこでFRPの劣化レベルごとにメンテナンス・補修方法をご紹介いたしますのでぜひ参考にしてみてください。
築3~5年程度にも関わらずひび割れが表れ始めた、そのような方は多いのではないでしょうか?こちらはFRPではなく防水層を保護する為に塗布したトップコートのひび割れであり、特に緊急性が高いものではありません。
しかし放置してしまうと下地のFRP防水層が劣化してしまいますので5~7年ごとにトップコートの塗り替えを行っていくよう心がけましょう。
ちなみにトップコートには硬膜なポリエステル樹脂(新築向け)と軟膜なアクリルウレタン樹脂(改修向け)がありますので、メンテナンスに合わせて使い分けましょう。
トップコートを塗布する下地の洗浄とアセトン等での油分除去で密着力を高めるのが改修時のポイントです。
防水層の浮きや剥がれは密着力不足や雨漏りによる水分の蒸発が挙げられます。狭小面積での浮きでしたら部分的にケレン掛けを行ってからFRP防水を再施工します。
広面積での浮きや剥がれは下地(合板)に問題がある可能性がありますので、下地の補修・補強を行ってからFRP防水工事を行う必要があります。
FRP防水の劣化が原因で雨漏りを起こしてしまった場合、まずは下地まで腐食が進行しているかを確認しなければなりません。
下地に問題がなくとも水分を含んでしまっているため硬膜なFRP防水では後々剥がれや浮きが生じる可能性がありますので、改修時にはコスト・下地との相性・追従性の高さからウレタン塗膜防水による通気緩衝工法(絶縁工法)が採用されることが多いです。
施工事例:FRP防水を施工したバルコニー
施工のきっかけ
築年数の経過につれバルコニーの床にひび割れが発生したことで防水工事をご検討されていらっしゃいました。施工前は雨漏りもなく施工後しばらくはメンテナンスをしたくはないというご希望から、耐久性に優れたFRP防水の再施工を行う事といたしました。
使用材料:FRP塗膜防水材 ポリルーフ(双和化学産業)
1. 高圧洗浄・下地清掃
FRP防水に関わらずまずは高圧洗浄で下地に付着した汚れをしっかり洗い落としていきます。
2. プライマー塗布
下地とFRP防水塗料の密着性を高めるため、プライマーをまんべんなく塗布していきます。ここまでは防水工事の基本となります。
3. 下塗り
FRP防水用ポリエステル樹脂と硬化剤を混合させ均一に塗布します。
4. ガラスマット敷き
樹脂内部に空気が残ると後々FRP防水層の膨れ・浮きを起こす可能性がありますので脱泡ローラーでガラスマットに含まれたFRP防水層から空気を抜きます。
5. 中塗り
樹脂を塗布し硬化させた後、研磨機を使用してFRP表面を削り調整します。その後清掃・アセトン拭きで油脂を除去します。
6. トップコート
FRP防水層が紫外線によって劣化しないようトップコート(保護塗料)を塗布します。FRP防水は繊維状のガラスマットを使用しますがトップコート前に研磨しますので、ザラザラとした印象はそれほどありません。足元が滑り不安だという方は骨材入りのトップコートを使用しましょう。
今回はFRP防水に焦点を当てご紹介させていただきました。ベランダやバルコニーからの雨漏りを防ぐために施工するFRP防水は工程も多くコストもかかります。それでも外壁塗装工事をご検討中の方はセットで行う事をお勧めします。なぜなら防水層と外壁は決して無関係ではないからです。
例えばバルコニーの下端を見てみると外壁材が部分的に凹み防水の立ち上がりがみられるかと思います。施工箇所・内容は異なりますが外壁が傷んでいれば防水層への雨水の影響は大きくなりますし、仮に凹み(水切り)がないお住まいで防水工事を行えば防水塗膜の端から雨水が入りこむ可能性があります。
そのようなことが起きないよう、防水層の立ち上がり部分は外壁塗料で覆い被せるように塗装しますので、どうしても外壁塗装と防水工事をセットで行った方が良いとされています。
しかし実際塗装業者は防水工事を行いませんし、防水業者が外壁塗装を出来るというわけではありません。そもそも使用する塗料も施工方法も違うからです。
二社以上に工程・工期を確認しながらメンテナンスを進めていくというのはお客様にとっても大きなストレスになってしまいますよね?そのような時は街の外壁塗装やさんにお任せください。
街の外壁塗装やさんでは屋根塗装・外壁塗装はもちろんなのですが、ベランダ・バルコニーや陸屋根の防水工事を承っております。雨漏りを起こしている、もしくは起こしかねない状態で塗装工事を行っても再度補修が必要になってしまうからです。外装メンテナンスをされる際には必ず経年劣化を確認し必要に応じたメンテナンスをまとめて行う必要があります。
点検・お見積りは無料ですのでFRP防水の劣化が気になる、雨漏り補修を検討している、FRP防水以外の防水工程との比較をしたい等、気になる事、不安点はお気軽にご相談ください。
FRP防水とは軽量・高耐久の繊維強化プラスチックを防水工事に応用した工法で、近年ほとんどの住宅でFRP防水が採用されています。
FRP防水はウレタン防水同様メンブレン(塗膜)防水で非常に見分けがつきにくい工法ですが、手触り・表面の滑らかさ・劣化の表れ方で見分けることが可能です。
築年数が浅いにも関わらずFRP防水表面のひび割れが多くなってしまった、このような劣化はトップコートのひび割れがほとんどでトップコートを塗り替えれば問題在りません。しかしFRP防水も硬膜でひび割れ方が似ていますので、不安な場合は必ずFRP防水に詳しい専門業者にご相談ください。
塗装工事と防水工事は使用する塗料や施工方法が全く違いますので中途半端な業者にお任せするのは危険です。しかし外壁と防水工事が必要な箇所(ベランダ・バルコニー・陸屋根等)は非常に密接な関係にありますので、FRP防水に詳しい専門業者を選定する必要があります。
FRP防水は耐震化の向上を図り軽量化が進んでいる現代住宅には正に最適な防水工事です。適正な施工箇所・補修方法を把握しFRP防水メンテナンスを行い、大事なお住まいを雨漏りから守っていきましょう。